【anxiety】





私は何時も不安。

結婚してもたぶんずっと。

ヨナタンの心の中が見えないから。

彼があまりに心を言葉にしようとしないから。




「ねぇ、ヨナタン。私のこと、スキ?」


結婚式の後で、ヨナタンにそう尋ねてみた。

彼は少し顔を赤らめてこう返してくれた。


「もちろんさ」


  それはうれしいことだけど。

でも。

何か足りなくて。


「言葉にして」


形がないと、不安になる。

たとえ相手も気持ちを知ったとしても、伝えてくれないと。

女の子はそういうもの。

好きな人の愛をパワーに生きているんだもの。

『愛』というキモチを

『言葉』というモノに代えて。


「ねぇ、言って?」


上目づかいに彼を見上げてみた。

ヨナタンは少し困っているようで。

少し照れてもいるようで。

そんな彼を見るのは初めてで。

なんだかとても新鮮で。


でも彼は『言葉』という名の『愛』をくれなくて。


「…もういいわよっ。ヨナタンのバカ!!」


そう言って私はヤミナのところへ走っていった。




「いったいどうしたのよ、ビティア?」

「ヨナタンと喧嘩してきたの」

「もう?」

「だって彼、何も言ってくれないんだもの」

「何も?」

「好きだとも、愛してるとも言ってくれない」

「…不安なのね」

「ヤミナはいいわよね、王子様だもん。紳士なんでしょうね、きっと」

「…まぁね」

「ヨナタンがそういうこと苦手だって言うのはわかってるのよ」

私の眼からは自然と涙が零れ落ちていた。

「でも、やっぱり好きな人だもの。気持ちを言葉手伝えてほしくもなるんだもの」

いったん溢れてしまった涙は止まることを知らなくて。

私はその涙を止める術を知らなくて。

ヤミナはその優しい手で、私の涙を拭いてくれた。

すると不思議と眼から零れ落ちた滴も流れることを止めた。


「ごめんなさい、フェリンと一緒にいたかったでしょ?」

「いいのよ、私が好きでしてることだもの」

「2人の時間、邪魔しちゃってごめんなさいね」

「いいわよ別に。ねぇ、フェリン?」


そこにはフェリンがいて。


「ばれてたんだ…」


フェリンは少し悪そうな顔をした。


「聞くつもりはなかったんだ、ごめん」

「いいんです、別にたいしたことじゃないですから」


2人はやっぱり幸せそうで。

そんな2人がなんだかうらやましくて。


「じゃ、私帰ります。お邪魔しました」

「あ、うん。またね、ビティア」

「ヤミナ、フェリン、おやすなさい」

「ちゃんとヨナタンと仲直りするのよ?」

「わかってるわ」

「じゃぁね」


私は、宮殿を後にした。

そして足早に、家へと向かった。


家に着くとそこにはヨナタンがいて。


「ただいま」


私は平静を装って。


「ただいまじゃないよ。何してたんだ、今まで。心配だったんだから」

「ヤミナのところに行ってたの」

「宮殿に?」

「あなたのことを話にね」

「僕のことを?」

「ねぇ、愛してるって言って?」

「恥ずかしくて言えないよ」


ヨナタンは顔を真っ赤に染めて。


「1度でいいの、『言葉』で伝えて」


「アイシテル」


ヨナタンは耳元でそう囁いた。

消え入りそうな小さな声で。

でも私はそれだけで幸せになる。

女ってなんて単純なんだろう。

好きな人しだいでこんなに嬉しかったり、悲しかったりするもの。


「私もアイシテルvvv」


あなたの精一杯の言葉だから私も精一杯の気持ちを込めて。

一握りの『言葉』の中に数え切れない『愛』をこめて。

あなたに送りたい。


これからは時々でいいからその言葉、聞かせてよね?


私を不安にさせないで。




ヨナタン×ビティア小説、有難うございますー!!
もう、画面の前で読みながら、キャーキャー騒いでいましたv
ビティア可愛いーーvvああもう、ヨナタンの照れ屋っぷりとかvvもうやばいツボです!
そして、何気にヤミナ×フェリンも入ってて!
美味しすぎましたvv
「ばれてたんだ…」のフェリンが可愛くて仕方が無いという…vv
兎にも角にも、素敵でしたvvご馳走様です♪
素敵小説有難うございました!